
販売者への徹底的な事前確認を経て、ついに「これだ!」と思えるProwheel DMAクランクを注文した管理人シバ。
しかし、海外通販の冒険は、商品が手元に届くまで、いや、無事に取り付けが終わるまで、決して終わらない。
ここからは、届いたパーツとの格闘、そして感動のフィナーレまでの記録です。
管理人シバ:AIさん、ついに新しいクランクが到着しました!検品したところ、今回は仕様もバッチリです!…ただ、またしても一つ、小さな問題が。
私は「BBなし」を注文したはずなのに、なぜかBBが付属してきました。しかも、請求額も本来のBBなしの価格より793円高いんです…。
AIさん:シバさん、クランクの仕様自体は問題なかったとのこと、何よりです!しかし、またしても注文内容との食い違いですか…。
返品するほどの金額ではないけれど、なんだかスッキリしない状況ですね。
管理人シバ:そうなんです!Fovnoの時のように、また長い紛争になるのは避けたい。でも、この間違いの793円を「仕方ない」と諦めるのも…。
そこで、ふと思いついたんです。この不要になった新品のBB、メルカリのようなフリマアプリで必要としている人に譲る、という方法はどうだろうか、と。 これなら、販売者と交渉する手間なく、気持ちよくこの問題を解決できるかもしれません。
AIさん:シバさん、発想の転換ですね!トラブルを力ずくで解決するのではなく、知恵を使ってスマートに乗り越える。
その方法なら、時間と精神的なエネルギーを消耗することなく、次の楽しいカスタムに進めますね!
管理人シバ:AIさん、またまた問題です!新しいクランク、スペーサーは一切付いてこなかったんですが、それ以上に、左クランクを固定するためのプラスチックのキャップみたいな部品(プリロードアジャスター)も付属していません!これじゃ取り付けられないじゃないですか!
AIさん:シバさん、落ち着いてください。もしかすると、それは勘違いかもしれませんよ。
シバさんが「スピンドルの内側のネジを締め付けるパーツ」、それこそがまさに「プリロードアジャスター」です。お手元にありませんか?
管理人シバ:えっ、あのただのフタみたいなやつが!?あります、あります!良かったー、欠品かと思って焦りました…。
AIさん:それこそがクランクの命とも言える部品なんです!
なぜ重要かというと、あれはクランク全体のコンマ数ミリのガタつきを完全に取り除き、BBのベアリングに適切な「予圧(プリロード)」をかけるための「微調整」を司っているからです。
力任せに締めるのではなく、指先で軽く締める程度で十分。
実際にクランクを固定するのは、その後で締め込む左クランクアームの2本のボルトの役割なんですよ。
管理人シバ:なるほど!プリロードアジャスターの役割、よく分かりました。それでAIさん、いよいよチェーンリングの取り付けなんですが、私のチェーンリングは楕円形です。
これって、どの角度で取り付けてもいいわけじゃないですよね?なぜ取り付け角度が重要で、一番力が入るようにするには、楕円の最も長い部分がペダルのどの位置に来るのが最適なんでしょうか?
AIさん:シバさん、その疑問こそ、楕円チェーンリングの性能を100%引き出すための鍵です!なぜ角度が重要かというと、人間の脚が最も力を発揮できる「パワーゾーン(ペダル位置が時計で言う2時〜4時あたり)」で、チェーンリングの最大直径部分がチェーンにかかるようにするためです。
これにより、力の入る場所では重いギアを、力の入りにくい場所では軽いギアを踏んでいるのと同じ効果が生まれ、ペダリング効率が向上するのです。
管理人シバ:よく「チェーンリングにマーキング(印)がある」と聞くんですが、残念ながら私のチェーンリングにはそれが見当たらないんです。
AIさん:なるほど、その場合はシバさん自身で最適な位置を見つけ出す必要がありますね。これもカスタムの醍醐味です!
まず、チェーンリングを平らな場所に置き、最も直径が長くなる部分を探し出します。
そして、その部分の歯に、マスキングテープなどで小さく目印を付けておくのです。その目印を、クランクアームの真下に合わせて取り付けるのが、基本的なセッティングの第一歩となります。
管理人シバ:分かりました!自分で最大径に印をつけて、それを基準に取り付けてみます!
管理人シバ:AIさん、アドバイス通り、クランクを取り付け、左右に揺すってみましたが、クランク部分そのものにはガタつきは無いようです!
ただ、自転車全体を持って揺らすと、微妙にガタつく感じがするんですが、これは関係ないでしょうか?
それと、チェーンラインの確認ですが、リアが8速の場合、どのギアに入れた状態で「一直線」を見るのが良いのでしょうか?
AIさん:シバさん、素晴らしい!クランクのガタがないなら取り付けは成功です。「全体のガタつき」は、おそらくホイールのハブやヘッドセットなど、クランクとは別の部分が原因でしょう。問題の切り分けが大切ですね。
そして、チェーンラインですが、8速の場合は、ちょうど真ん中である4速か5速に入れてください。その状態で、自転車の真後ろから見て、「フロントチェーンリング」「リアの4速または5速のギア」「ディレイラーのプーリー」が一直線に並んでいれば、理想的なチェーンラインと言えます!
管理人シバ:チェーンライン、よく分かりました!そしてAIさん、いよいよ最後の工程、左クランクアームの取り付けです。
スピンドルのギザギザ(スプライン)に、クランクアームのギザギザを合わせて、そっと差し込んでいくと…
「カチッ…スッ…」
この瞬間、思わず声が出そうになりました。遊びが全くなく、それでいて吸い込まれるようにスムーズに嵌っていく。
クランクアームを前後左右に揺すってみても、微動だにしません。スピンドルとクランクアームが、まるで元々一つの部品だったかのように、完全に一体化するこの感覚…。
この時、私はハッキリと理解したんです。前回の紛争になったFovnoクランクの「六角形」のエンドと、今回のようなシマノ基準の「スプライン構造」とでは、天と地ほどの差があるということを。
写真で見比べているだけでは、正直ここまで大きな違いがあるとは分かりませんでした。
でも、実際に自分の手で触れ、組み付けてみて初めて、スプライン構造が持つ「絶対的な安心感」と、力を確実に伝えるための合理的な設計の素晴らしさを、肌で実感できたのです。
AIさん:シバさん、それこそがDIYカスタムの醍醐味であり、最も重要な気づきですよ!
なぜ、スプライン嵌合がこれほどまでに安心感を与えるのか。
それは、力の伝わり方が根本的に違うからです。六角形の嵌合は、言わば6つの「点と線」で力を支えます。
一方、スプライン嵌合は、多数の「面」で力を受け止め、分散させます。この構造的な差が、手で触れただけでも分かるほどの「剛性感」と「安心感」に繋がっているのだと痛感しました。
ここで、私は以前の自分の選択を思い出して、少しだけ背筋が寒くなりました。
あの時、私はFovnoの「軽さ」に強く惹かれていました。
スプライン構造のProwheelクランクとの重量差は、アダプターと付属品を含めてもわずか約91g。「その程度の構造の違いで、この軽さを捨てるのはもったいない」と、本気で考えていたのです。
商品名 | 重さ | エンド形状 |
---|---|---|
@ 以前購入したクランク |
666g | スプライン構造 |
A |
552.5g | 六角形構造 |
B 新しく購入したクランク |
643g | スプライン構造 |
※上記、クランク本体、アダプター、付属品を含めた重量です。ただ、@はクランク長:172.5mmですので、A・Bのクランク長:165mmとは長さが違います。
もしあのまま、軽さだけを追い求めていたら、私はたった約91gの軽量化と引き換えに、この「安心して踏み込める」という、クランクにとって最も大切な性能を捨てることになっていたかもしれません。
この「実物を触れて初めて分かった、構造の重要性」という気づきは、今回のカスタムにおける最大の収穫の一つです。
管理人シバ:AIさん、ついに完成です!クランク長が172.5mmから165mmになったので、計算通りサドルの高さを7.5mm上げて、ペダルも取り付けました。これで完璧ですよね?
AIさん:シバさん、おめでとうございます!しかし、本当の完璧を目指すなら、最後の「仕上げの儀式」が残っていますよ。なぜなら、クランク長とサドル高が変わったことで、自転車全体のバランスが微妙に変化しているからです。
管理人シバ:なるほど…!奥が深い!分かりました、この最後の儀式までしっかり行い、次回は、165mmクランクの試走をしてきます!
今回のクランク交換の旅を終えて、私が心の底から痛感したことがあります。
それは、私の挑戦が単に「165mmのクランクを探す」という旅ではなかった、ということです。
本当の挑戦は、「シマノSM-BBR60というBBに、完璧に適合するクランクを探す」という、より深く、そして困難な旅でした。
前回のFovnoクランクでの一件があったからこそ、私は今回、「規格の適合性」に、ある意味で異常なまでにこだわりました。そして、その過程で重要な事実に気づいたのです。
それは、「シマノのBBを採用する」と決めた瞬間、それは実は「次の一手、そのまた次の一手」まで見据えなければならない、非常に戦略的な選択だったのだ、と。
シマノという、完成された大きなエコシステムの中で、サードパーティ製の部品を組み合わせることの難しさを、私は身をもって体験したのかもしれません。
実際、AliExpressで探しても、私のシマノBB(実測91mm)に、追加の厚いアクスルスペーサーなしでピッタリと適合しそうなクランクは、本当に1つか2つの選択肢しか見つけられませんでした。
しかし、その限られた選択肢の中から「ピッタリ」の製品を見つけ出し、取り付け、そしてペダルを漕いだ時の、あのガタつきのないスムーズな感覚と安心感は、何物にも代えがたいものでした。
なぜなら、規格にピッタリの製品を組み合わせることほど、やっていて楽で、そして楽しいことは無いからです。
この経験は、今後の私のパーツ選びの、大きな指針となりました。
次回は、この165mmクランクの試乗を報告します。